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当社社員が京都大学にて博士(工学)の学位を取得しました

 当社の国内留学制度により、橋梁技術部の酒井武志が2024年4月から2025年9月までの1年半、京都大学大学院工学研究科社会基盤工学専攻の博士課程に在籍し、北根安雄教授のご指導のもと、博士(工学)の学位を取得しました。

〈論文の概要〉
 博士論文のテーマは「手持動力工具処理面と無機ジンクリッチペイント面の異種接合面を有する高力ボルト摩擦接合面に関する研究」です。本研究は、既設鋼構造物と新設補修補強部材を高力ボルト摩擦接合で連結する際のすべり係数に影響する因子を実験的に確認し、現場への適用条件を提案したものです。具体的には、既設構造物に対して使用する動力工具の種類や研削条痕の方向、処理後の残存塗膜の種類、連結板に塗布する無機ジンクの塗膜厚、ボルト締付け後の経過時間などがすべり係数に与える影響を詳細に検討し、無機ジンクの塗膜厚150 μm程度かつ適切な表面処理を行えば、設計上必要なすべり係数0.4以上が安定的に得られることを示しています。また、トライボロジー理論に基づくすべり抵抗メカニズムを考察し、品質管理方法を提案しています。これにより、現場での施工性と経済性を両立しつつ、信頼性の高い補修・補強工法の実現に貢献できる内容となっています。

 当社は技術立社として、博士の学位取得を奨励し、専門知識を最大限に活かすことで、社会に安心と信頼をもたらす高品質な社会基盤づくりにより一層貢献してまいります。

〈論文情報〉
酒井武志:動力工具により素地調整した接合面と無機ジンクリッチペイント面の異種接合面を有する高力ボルト摩擦接合継手のすべり係数に対する塗膜厚の影響、土木学会論文集、Vol.81、No5、pp.1-20.2025.5.